『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』
成田悠輔(著)
世の中の根本を疑え
断言する。若者が選挙に行って「政治参加」したくらいでは日本は何も変わらない。
これは冷笑ではない。もっと大事なことに目を向けようという呼びかけだ。何がもっと大事なのか? 選挙や政治、そして民主主義というゲームのルール自体をどう作り変えるか考えることだ。ゲームのルールを変えること、つまり革命である――。
22世紀に向けて、読むと社会の見え方が変わる唯一無二の一冊。
●目次
A.はじめに断言したいこと
B.要約
C.はじめに言い訳しておきたいこと
第1章 故障
第2章 闘争
政治家をいじる
メディアをいじる
選挙をいじる
UI/UXをいじる
第3章 逃走
第4章 構想
選挙なしの民主主義に向けて
民主主義とはデータの変換である
アルゴリズムで民主主義を自動化する
不完全な萌芽
政治家不要論
おわりに:異常を普通に
はっきりとした物言いで何かと炎上する成田さんですが、
本業は学者、データに基づいて考察された本書をや読むと、
やはり成田さんはすごいな、と感心してしまいます。
国内の本でついているものには、あまり出会ったことがありません。
アブストラクトがあるだけで、その本への理解がしやすくなるので、
『22世紀の民主主義』においても、比較的内容の理解がしやすかったです。
成田さんが本書で提唱した新たな民主主義は、
”無意識データ民主主義”と名付けられています。
割とそのままの意味なのですが、
無意識レベルの意志や欲求などを集め、民主主義に反映してしまおう、
このようなシステムのことです。
無意識にデータが集められるので、政治家はもはやいりません。
”無意識データ民主主義”における政治家の役割はマスコットです。
公約がどうこうとか言う必要もありません。
ネコのようにかわいければ、それで十分です。
実現するかは別として、この”無意識データ民主主義”、非常に面白いと思いませんか。
政治や選挙、民主主義といった言葉が並ぶと、
難しそうだし、堅そう、それにすぐに不安を煽る(日本の経済はヤバい!みたいな)、
こういったことが、人々を政治から遠ざけてしまっていると思います。
メディア出演などもされている成田さんが、
本書のような斬新なアイデアを提唱することで、
大衆の政治に対する拒否感をある程度なくせるものと考えています。
政治や民主主義って意外と面白いじゃん、そんな風に思える一冊です。